そのパイプ、どう曲げる? ―汎用ベンダー・CNC・ロールベンダー、曲げ加工の使い分け
2026年07月20日|ATK blog weekly(加工深堀りシリーズ)
執筆:ATKブログ編集部|金属素材を扱う現場の視点でお届けしています
この記事の結論(先にお伝えします)
パイプの曲げは、「曲げの半径(R)・平面か立体か・パイプのサイズ・数量」で機械を選ぶのが基本です。小さくきっちり曲げるなら汎用パイプベンダー、立体的に何カ所も曲げるならCNCパイプベンダー、大きくゆるやかなカーブなら芯金いらずのロールベンダーが向いています。
3行でわかる要点
- 曲げ機械は「Rの大きさ・平面/立体・サイズ・数量」で選び分ける。
- 汎用=標準的な曲げ/CNC=立体的な連続曲げ/ロール=大きなR。
- 発注時に「材質・径・R・曲げの数と向き」を伝えると最適な機械を選べる。
先日、「このパイプをゆるやかなカーブに曲げてほしい」というご相談をいただきました。よく伺うと、屋外スロープに付ける手すりで、長く大きなR(曲げの半径)が必要な形でした。ひと口に「曲げ」と言っても、現場には曲げ加工の機械が3種類あり、パイプの太さ・曲げの形・Rの大きさによって、適した一台が変わります。選び方ひとつで仕上がりも納期も変わるので、今回は鉄・ステンレスの鋼管を曲げる代表的な3つの機械を、現場目線で整理してみます。
なぜ曲げ機械が3種類もあるのか
パイプの曲げがむずかしいのは、そのまま曲げると内側が潰れてしまうから。だから多くの曲げ加工では、パイプの内径に「芯金(しんがね)」という金型を入れ、潰れを防ぎながら曲げます。とはいえ求める形はさまざまで、小さくキュッと曲げたいのか、大きなカーブを描きたいのか、立体的に何カ所も曲げたいのか——目的が違えば最適な機械も変わります。だからこそ1台にまとめず、目的ごとに使い分けるわけです。
代表的な3つの曲げ機械と特徴
① 汎用パイプベンダー:テコの原理で金型のR形状に沿って曲げる基本の機械です。丸パイプ(φ15.9〜φ60.5)から角パイプ(25×25〜50×50ほか)まで幅広いサイズに対応でき、標準的な曲げの主力です。内径に芯金を入れて潰れを防ぐ必要があります。
② CNCパイプベンダー:NC(コンピューター)制御で曲げる機械です。利点は複雑な3次元形状の連続曲げができること。欠点はセッティングに時間がかかることです。まとまった数を同じ形でつくるときに本領を発揮します。
③ ロールベンダー:3本のロールでテコの原理を使い、大きな曲げRをつくる機械です。大きなRのゆるやかなカーブが得意で、外径に合わせた金型は要りますが、R形状の金型や内径の芯金は不要。ただし小さな曲げRには対応できません。冒頭の「大きなRの手すり」は、まさにこの出番でした。
ひと目でわかる比較表
| 機械 | 対応サイズ(目安) | 利点 | 注意点 | 向いている加工 |
|---|---|---|---|---|
| 汎用パイプベンダー | 丸φ15.9〜φ60.5/角25×25〜50×50ほか | 丸・角とも幅広いサイズに対応 | 芯金で潰れ防止が必要 | 標準的な丸・角パイプの曲げ |
| CNCパイプベンダー | 丸φ17.3〜φ42.7/角22×22〜30×30 | 複雑な3次元の連続曲げが可能 | セッティングに時間がかかる | 立体的・連続した曲げ |
| ロールベンダー | 丸φ17.3〜φ34.0 | 大きな曲げRに対応/芯金不要 | 小さな曲げRは非対応 | 大きなRのゆるやかな曲げ |
出典:ATK「曲げ加工」ページの加工特性をもとに作成。
選ぶときのコツ ―最初に伝えたい4つの情報
失敗しないコツは、発注時に「材質・パイプのサイズ(径)・曲げの半径(R)・曲げの数と向き」を添えていただくこと。特に「Rの大きさ」は機械選定を大きく左右します。小さくキュッと曲げるなら汎用ベンダー、大きくゆるやかに曲げるならロールベンダー、立体的に何カ所も曲げるならCNC、という具合です。数量も重要で、同じ形をまとまった数つくるならCNCのセッティング時間が回収でき、トータルで効率的になるケースが多いです。「この形、曲げられる?」と迷ったら、用途と図面(手書きでもOK)を見せていただければ見当をつけられますので、まずはご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 複雑な3次元形状の曲げはできますか?
A. CNCパイプベンダーで、NC制御による複雑な3次元形状の連続曲げが可能です。何カ所も向きを変える立体的な曲げに向いています。
Q. 大きくゆるやかなカーブ(大きな曲げR)はつくれますか?
A. ロールベンダーが大きな曲げRに対応します。芯金が不要な一方、小さな曲げRには対応できません。
Q. パイプを曲げると潰れませんか?
A. 汎用・CNCパイプベンダーでは、内径に芯金という金型を入れて潰れを防ぎながら曲げます。ロールベンダーは芯金なしで大きなRを曲げます。
