地味なコア・コンピタンス

株式会社エーティーケーでは定期的に工場のレイアウト変更が行われます。

その一番の目的は「交通整理」。

弊社の場合、いわゆる「ひもつき」と呼ばれる仕事の割合が10%程度の為、残りの90%の受注構成によって物の流れが大きく変化します。

また、販売先や受注内容は年々変化し続けているので、4~5年で売上比率の上位10社のうち約30%が入替わります。

その副作用として起こるのが、工場内物流の混乱です。

なぜなら、受注内容の変化がもたらす加工内容の変化は物の流れを大きく変えるので、機械の配置によっては仕掛品が右往左往してしまうのです。

結果、作業効率が著しく悪化し、仕掛かり品の把握も難しくなってしまいます。

そのため作業ロスを減らすために交通整理によって物の流れを明確にする必要が出てくるのです。

上:一カ所に集められた工作機械たち

そして今回のレイアウト変更のもう一つのポイントは、母材在庫置場の縮小とそれによって生じる空きスペースへの設備投資です。

こちらは経営方針と連動しています。

弊社は材料問屋としてスタートした企業ですが、近年は複合的な加工を施したモジュール部品の提供が主流になって来ました。また、ここ十数年の国内における鋼材流通量の減少は、大量の母材在庫を保持することの意味を問いかけていました。

そこで経営資源と提供価値の再考をした結果、母材在庫を30%縮小すると共に全社的な作業効率の改善を本年度(10月~)の課題とすることにしました。

それに加えて2020年から従業員の休暇を10%以上増やします。これは法改正に対応したものですが、敢えて、それ以上の休暇取得を目指す事にしました。

その上で前年度同等の営業利益を確保することを目標としています。(弊社では経営方針に基づいた予算設定を行うので、安易な増収増益目標は設定せず、方針に沿った数値目標を重視します。)

従って、今回のレイアウト変更は、在庫資源が減り、労働時間が減る中で成長を維持するために必要となるのです。

ちなみにレイアウト変更を行うために工場を止めるわけにはいかないので、主力となる機械は移動と設置を一晩で終えます。

これをいつでも自由に出来ることが、表にあらわれない弊社の強みであり、後世に伝えていかなければならないコア・コンピタンスの一つだと考えています。

k.yamatani

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