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欲しい形、自由自在。

そのカット、型はいらない ―プラズマ溶断で“自由な形”をつくる話

2026年09月21日|ATK blog weekly(加工深堀りシリーズ)

執筆:ATKブログ編集部|金属素材を扱う現場の視点でお届けしています

この記事の結論(先にお伝えします)

プラズマ溶断は、金型などの治具を使わずに比較的自由な形状へ切り分けられる加工です。楕円や角穴の穴開け、切り欠け、スリット、縦割り、H鋼のフランジカットまで、鋼材ならパイプ・形鋼を問わず対応できます。「型を起こすほどの数ではないけれど、自由な形にしたい」というときの強い味方。ただし熱で歪みが出る場合がある点だけ、あらかじめ共有いただけると安心です。

3行でわかる要点

  • プラズマ溶断は金型不要で、比較的自由な形状に切り分けられる加工。
  • 楕円・角穴の穴開け、切り欠け、スリット、縦割り、H鋼フランジカットが得意。
  • 熱で歪みが出ることがあるので、精密な部品は発注時にひと言添えると安心。

先日、「このH鋼のフランジ(つば部分)を、この形にカットしてほしい」「パイプの側面に楕円の穴を開けたいのだけれど、金型を起こすほどの数量じゃなくて…」というご相談を続けていただきました。どちらも、決まった型で抜くには数が少なく、かといってドリルやのこ盤ではつくりにくい“自由な形”。こういうとき現場でよく登場するのが「プラズマ溶断(ようだん)」です。今回は、鉄・ステンレスの鋼管/鋼材を“熱で切り分ける”この加工を、現場目線で整理してみます。

なぜ「切る・穴を開ける」に方法がいくつもあるのか

ひと口に鋼材を「切る」「穴を開ける」と言っても、現場のやり方は一つではありません。刃物で削って断つ(切断加工)、金型で一気に抜く(プレス)、そして熱で溶かして断つ(溶断)。どれが向くかは、つくりたい形の自由度・数量・仕上がり(歪みの許容)で変わります。プラズマ溶断が受け持つのは、この中でも「型がないけれど、まっすぐな切断では出せない自由な形がほしい」という領域です。

プラズマ溶断って、どんな加工?

プラズマ溶断は、高温のプラズマで金属を溶かしながら切り分ける加工です。最大の特長は、金型などの治具を必要とせず、比較的自由な形状へ加工できること。基本的に鋼材であれば、パイプ・形鋼の区別なく対応可能です。得意な仕事は、切り欠け・スリット加工・穴開け(楕円・角穴など)・縦割り・H鋼フランジカット。まっすぐ切るだけの機械では難しい“形を抜く・欠く”系の加工が、型なしでこなせるわけです。一方で欠点もはっきりしていて、加工時に熱が発生するため、歪みが生じる場合があること。ここが後述の「選び方のコツ」に効いてきます。

他の“切る・抜く”加工との違い(比較表)

「自由な形にしたい」ときに候補となる3つの加工を、現場目線で並べてみます。

加工 型の要否 形状の自由度 向いている場面
プラズマ溶断 不要 高い(楕円・角穴・切り欠け等) 少量で自由な形。H鋼フランジカット・縦割り
機械切断(チップソー等) 不要 低め(直線・角度切りが中心) 切断面をきれいに。斜め切り・少ロット多品種
プレス(金型) 必要 型の形に固定 同じ形を数多く。量産で速く・きれいに

出典:ATK「溶断加工」「切断加工」「プレス加工」各ページの加工特性をもとに作成。

選ぶときのコツ ―最初に伝えたい4つの情報

失敗しないコツは、発注時に「材質(鉄かステンレスか)・つくりたい形・数量・図面(手書きでもOK)」を添えていただくこと。とくに分かれ道になるのが数量です。同じ形をまとまった数つくるなら金型のプレスが有利になりますが、「型を起こすほどの数ではない」自由な形なら、型のいらないプラズマ溶断がぴったり。楕円や角穴の穴開け、切り欠け、H鋼のフランジカットなどはまさに溶断の出番です。もう一つ、精密に寸法を出したい部品では、熱による歪みが気になることがあります。その場合は「歪みを抑えたい」とひと言そえていただければ、加工方法や後工程も含めてご提案できます。「この形、つくれる?」と迷ったら、まずはご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. プラズマ溶断はどんな素材に対応できますか?

A. 金型などの治具を必要とせず、基本的に鋼材であればパイプ・形鋼の区別なく対応可能です。鉄・ステンレスのいずれもご相談いただけます。

Q. 楕円や角穴など、自由な形状の穴開けはできますか?

A. はい。楕円や角穴などの穴開けのほか、切り欠け・スリット加工・縦割り・H鋼フランジカットなど、比較的自由な形状の加工に対応しています。金型が不要なので、少量でも承れます。

Q. 溶断だと歪みが出ると聞きましたが、大丈夫ですか?

A. 加工時に熱が発生するため、歪みが生じる場合があります。精密な寸法が必要な部品では、発注時に「歪みを抑えたい」とお伝えいただければ、加工方法や後工程を含めて最適なご提案をいたします。