生き残る偶然と必然

51ah9LFNIKL._AA160_その昔、ダーウィンが発表した「進化論」。
日本では、この本をこんな言葉でまとめる事が多いと感じます。

「強いものが生き残るのではなく、変化に対応できたものが生き残った」

この「変化に対応できたもの」を時間軸で考えると、全く違う2つの解釈が考えられます。

例えば、キリンを例にあげてみましょう。
この場合、「変化に対応して生き残った」理由に2つの解釈が考えられます。
一つは、高い位置の草木を食べるためにキリンの首が伸びた。
もう一つは、環境変化で草木が不足した時に高い位置の草木を食べることが出来る首の長いキリンのみが生き残った。

この2例の時間軸のズレは、どちらが先か?です。
環境変化が起こった時に「首が伸びたキリン」だけが生き残ったのか?
それとも、もともといた「首の長いキリン」のみが環境変化に対応できたので生き残ったのか?

冷静に考えるとわかると思うのですが、首は簡単に伸びないので後者が正しいと考えられます。

ただ、これを企業に置き換えると、前者の方法で経済環境の変化に対応しようと考えている企業が多々あります。

なぜなら、このような言葉をよく耳にすることがあるからです。
「我が社は環境の変化に対応して生き残ります!!」

この方針を「進化論」から考えれば、難しいと思います。
生き物と同様に企業も簡単に変わる事などできないからです。
そして、もう一つ重要な問題として、環境の変化は容易に予測できないからです。

だから、環境が変化する前に常に様々な種を蒔き続けなければならないのでしょうが、そこにはある程度のリスクが伴います。
結局のところ、このリスクの引き受けが、経営陣の重要な役割の一つになると思います。
それを前提にした場合、頻繁に経営陣が変わったり、系列会社の天下りで経営陣が構成される企業が、どこまでリスクを引き受けて新規事業にチャレンジできるのか?
余程、腹をくくったタイプの方でない限り、難しいと思います。
それ故に使い捨てのプロ経営者が重宝される時代になってきたのかも知れません。

生き物の進化の過程では多種多様な変異でさまざな種が現れ、環境変化に対応できる一部の種のみが生き残りました。
そこで生き残った種は、ある意味、偶然であり、必然です。

近年の急激な環境変化を完璧に予測できていた人は少ないと思います。
この環境下で業績を落とす企業もあれば、逆に伸ばす企業もあります。
その背景にあるのは何なのか?

動物の進化から何かしらのヒントを得る事ができるかも知れません。

k.yamatani

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