人材?人在?人財?

外国人材確保の流れが少しずつ明確になって来ました。

6/11 日本経済新聞:特定技能2号拡大、「家族呼べる」期待 定住へ支援必要

そもそもの話は人材不足が理由になるのですが、もう少し深堀すると人材不足になる理由に問題があるような気がします。

なぜなら、基本的に不足しているのは「安く働いてくれる人」のパターンが多いからです。なぜ、そうなるのかと考えたら企業が利益を確保できないからであり、更に言えば、企業の経営能力や業界の構造にまで話が移っていきます。

今回の制度改正で多少人材確保がしやすくなるのかも知れませんが、彼らや彼女達がいつまでも低賃金で働き続けてくれると考えるのは夢物語だと思います。

根本的な問題を解決しなければ同じ問題が繰返されるだけであり、その場しのぎの解決を続けていると、いずれ対応しきれない大きな問題に発展する可能性が高いのではないでしょうか?

文化の成長

新しい資本主義の旗印のもと、働き方に置いて様々な改革が進んでいます。

6/5 日本経済新聞 終身雇用ありきの退職金 政府が是正、税制と規則一体で

そもそも終身雇用を企業の制度として掲げている企業はないと思いますが、結果として終身雇用の状態になっていた人がほとんどだと思います。

文脈上、まるで終身雇用が悪いように書かれている記事が多いですが、本来であれば、同じ会社に長く務める事が出来るのは素晴らしい事です。問題は、そこに安住して成長を怠る個人や組織の方にあるので、そちらの方をもっと改善出来ればいいのになぁ…と思いますが、それが出来ないから社員の流動化で新しい血を呼び込もうとしているのでしょう。

ちなみに終身雇用を前提とした新卒採用を主にしていた企業からは「新卒の方が自社の文化に染まりやすい」ことを採用の理由にしている言葉をよく聞きます。この「仕事を覚えやすい」ことよりも「文化に染まりやすい」ことを優先することが、終身雇用と呼ばれる環境の源泉であるような気がします。

一方、近年流行りのジョブ型と呼ばれる働き方を志望する人達は「文化に染まる」ことよりも「仕事を覚える」ことを優先します。このミスマッチが転職者がひたすら転職を繰り返すループに陥る原因の一つになっているのかも知れません。

退職金制度等が終身雇用ありきでなくなることは良い事だと思います。

ただし、人材の流動化を目的とするのであれば、企業経営者の平均年齢が20歳ほど若返る必要があるでしょう。変わらなければならないのは、社員よりも企業文化の方です。

呼吸と血流

経営に関する本や雑誌を眺めていると数年毎に流行語のような言葉を目にすることがよくあります。ここ最近ではAIでしょうが、少し前ならメタバースでしょうか?

そのような媒体は、いかにもすぐに取り入れなければ時代に取り残されるかのように囃し立てますが、得てして流行は所詮流行なわけで、数年経つと全く耳にすることがなくなることもしばしばです。

そんな中の言葉の一つにコア・コンピタンスと言う言葉があります。リストラやリ・エンジニアリングなどの言葉が盛んに使われていた時期によく耳にした言葉です。別にこの言葉自体に流行の意味合いはなく、非常に重要な意味の言葉なのですが、何となく忘れ去られ気味になっているような気がします。

数か月前から弊社では切断業務の工程管理をクラウド化して、リアルタイムの作業工程をスマホやタブレットでどこからでも確認できるようにしました。その結果、改めて判ったことがあります。

それは弊社が受注している仕事の70%が1週間以内の短納期であり、且つ全体の70%が少ロット製品であると言うことでした。正直、弊社の受注内容に少ロット短納期が多いことは認知していましたが、まさかそこまでその割合が多いとは思っていませんでした。

それをこなすために現場で行われている事が、まさに弊社のコア・コンピタンスです。

通常、複合的な加工を行う場合は、ある程度一つ一つの工程の繋ぎの部分に多少の時間的余裕を設けるのが通常の現場です。それはトラブル発生時の調整に使うための時間でもあります。その隙間時間を極力なくした生産方式がトヨタ生産方式ですが、これは量産メーカーの計画生産だからこそできる事です。

弊社の場合、その隙間時間を無くす方法として特殊な環境が出来上がっています。面白い事にそれをやっている本人達は、自分達がやっている事の特殊性に気が付いていません。

工場内では加工を行う技術や機械を動かすオペレーション技術に脚光が当たる事が多いため、工程間を繋ぐ技術は無視されがちです。しかし、それが弊社のコア・コンピタンスであり、重要な文化の一つでもあります。

ケガをしなければ血液が体内を流れていることを意識する事はありませんが、血液が流れなければ臓器は機能しません。当たり前なことほど、見えない。そして、当たり前だからこそ大事なことがあります。

価値の可変と不変

昭和の時代に生まれた人達は、「よく勉強して、いい学校へ入って、いい会社へ就職する」ことが、生きていく上での勝ちパターンだと暗示をかけられながら育った人が多いと思います。ここで言う「いい学校」とは偏差値の高い学校であり、「いい会社」とは大企業をさしていました。

ところが、バブル崩壊後の経済の低成長と社会構造の変化の中で「いい会社=大企業」の公式はジワジワと崩れてきました。特に最近は、大企業とは対極にある個人事業主としての成功を目指す若者の声をよく聞きます。そう言った意味では「集団」よりも「個性」を重視した教育改革の結果が反映されるようになってきたのかも知れません。

そして、今「いい学校」の定義が崩れかけています。それは大規模言語モデル(LLM)をベースとしたAIの急激な進化が背景にあります。今や難関校の入試の上位10%以内に入ることも可能になったと言われていますが、それにより「いい学校」を偏差値で測ることが難しくなる可能性が出てきました。そこで困るのが学校側です。何をもって受験生が集まる学校にしていくのか?何をもって受験生を選別するのか?そして、何を教えるのか?など、非常に難しい課題を突き付けられることになりそうです。

教育が変われば、社会も変わります。社会が変われば、働き方も変わります。将来、AIと共存して成長した人達は、今の時代を生きる我々とは全く違う価値観になるでしょう。

ただ、この変化を心配しても無駄なことです。馬車が走り回っている時代を自動車が変え、そろばんで計算していた時代をコンピュータが変えたように便利なものは黙っていても普及します。

結局のところ、「いい人」である事が時代の変化を生き抜いていくのに一番必要な事なのかも知れませんね。

隠し味を見抜く力

最近の工作機械は進歩が目覚ましく、複雑な加工をいとも簡単に行ってしまいます。

当社にもここ数年、自動制御できるCNC工作機械が増えてきました。そんな中、思いもよらない問題が浮上して、あらためて職人の重要性を認識する事がありました。

例えば穴加工を行う場合、手動で加工をしていた時代はドリルの刃が悪いと加工が思うように進まなくなるため、職人の育成は、まずドリルの刃を研ぐ技術を身に付けることから始めます。そして、まともに刃を研ぐことが出来るようになって初めて機械をさわらせてもらえるようになりました。

ところが、現在の工作機械はパワーがあるので多少刃の状態が悪くなっても加工を行えます。また、刃を自動で研ぐ機械も導入した結果、誰でも機械を動かす事が出来るようになりました。

ただ、そこに落とし穴がありました。

悪い刃で加工を行うと機械に負担がかかります。機械は「苦しい…」とは言わないので、いずれ故障します。また、それに伴い精度も狂い始めます。

以前、穴ズレのクレームが発生した際に機械の故障が原因だと考えていました。ただ、あまりにも頻発するので最初の工程から見直したのですが、それでも原因がわかりません。そこで、たまたま職人の一人がドリルの自動研ぎ機を確認した際に設定がズレて刃がキレイに研げていない事が分かりました。要するに作業者が刃の状態の悪さに気付かず、そのまま加工を行っていたのです。

今の時代、職人がいなくても作業はできます。

ただ、職人がいなければモノの良し悪しがわかりません。

その損失は、会議室ではわかりません。

加工の隠し味を見抜ける人が現場には必要です。

リアルなカオス

三国志を題材とした蒼天航路という漫画の中で主人公の曹操が荀彧にこう尋ねるセリフがあります。

「(あなたが)推挙する人材に盗賊の類が混じることはあるか?」(292話 春節の轍)

なかなか深い言葉のため荀彧は苦悩するのですが、これは企業においても同じだと思います。

弊社には昔から不思議な文化があります。

「来るもの拒まず、去る者追わず」

誰かの紹介で弊社に入社したいと言っている人は拒まず、逆に他にやりたい事を見つけて去って行く人は追わないと言う文化なのですが、その結果、弊社の社員の7割近くは誰かしらの紹介で入社した社員となっています。

先週末、約3年ぶりに新入社員歓迎会を開催しました。

3年ぶりという事で対象者が6人になったのですが、その内5人は社員からの紹介です。

逆に去る人がほとんどいないので、この数年で2割以上社員が増えています。

ちなみにそのような採用なので、国籍・性別・年齢・学歴・経歴などはバラバラです。もちろん、能力にもバラつきがあります。

大事なことは、それぞれの能力を尊重して、お互いを人として認め合えるかどうか。

例えば、スポーツをやるにしても裏方で支える人達がいなければ試合になりません。仕事も全く同じで、スポットライトにあたる人やそれを支える人など能力に見合った役割があり、それぞれの役割を尊重し合うことで各人が仕事にプライドを持てるようになり、良い仕事に繋がります。

という事で、採用に関して重視する事は、それが出来るかどうか。能力は二の次です。

ただ…我が社には個性豊かな変わり者がよく集まります。(笑)

技能実習制度の限界

先日、日本経済新聞に技能実習制度の見直しに関する記事が載っていました。

2023.4.10 技能実習「廃止」提言へ 政府会議、外国人材確保に転換

弊社でも2009年から技能実習制度を活用していましたが、弊社が目指す理念と制度の在り方に矛盾を感じたため、2021年の最後の実習生の帰国をもって活用を完全に停止しました。

2009年、初めて仲間に加わった実習生達は3年後に祖国へ帰って一旗揚げる心意気がかなり強く、仕事にも貪欲で、覚えられる技術は何でも覚える勢いでした。当時、そのような若者は(日本には)なかなかいなかったので、こちらもかなりの刺激を受けたことを覚えています。

しかしながら、それから数年経ち、何度かメンバーが入替る過程で、その熱さは失われていきました。

それは日本に来る実習生達の気持ちが変わったからなのかも知れませんし、弊社がそれを提供できなかったからなのかも知れません。

いずれにせよ、ただの人員補充の形で実習生を受け入れることに矛盾を感じて、この制度そのものを活用する事を停止しました。一時期は外国人そのものを採用する事を避ける事もありましたが、彼らから得た事が多くあったのも事実です。結果、採用する基準を狭めることなく、国籍・性別・年齢等は一切関係なく、「あくまで自分達と同じ方向を見てくれる人達」としました。

現在、弊社ではミャンマーやベトナムからきた人達も正社員として働いています。

当たり前のことですが、彼達や彼女達の仕事内容や待遇は一緒に働く日本人達と全く変わりません。そして、彼達・彼女達の頑張りが周りの人達に大きな刺激を与えてくれています。

改めて、国や人種、性別や年齢に関係なく同じ目線に立って共に働く大事さを感じると同時にいつの間にか安い人材を確保する目的にすり替わってしまった技能実習制度の限界を過去に経験した立場として、この記事には思うところがたくさんありました。

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。

新型コロナウイルスの蔓延が始まってから3年が経ち、あらたな常識へと徐々に移行してきています。

しかしながら、この3年間で人々の活動方法は大きく変わりました。今後、元の状態に戻ることも多いと思いますが、根本的に変わってしまった事も多々あると思います。

それをどのように捉えて、どのように合わせていくのかが、今後を生きる私達の一つの使命になるでしょう。

これからも日々もがきながら、必死で生きていく事には変わりがないようです。

まだまだ至らないことが多く、もっともっと成長しなければならない私達ですが、本年もよろしくお願い申し上げます。

株式会社エーティーケー 社員一同

有と無

行動制限が解除され、あちこちの観光地に人が流れ込んだ盆休み。

皆さんはいかがお過ごしでしたか?

私は田舎への帰省も検討しましたが、なんとなく後ろめたい気持ちで帰省するのもどうかと思い、クーラーで涼みながら穏やかな連休を過ごす予定でした。

が…家族がそれを許してくれず、太陽が燦燦と照っている中でいざ出陣。

目的地は京都。

お盆を迎えた京都のお寺巡りをしてきました。

いくつか訪問した中で印象深かったのが建仁寺

ここへの訪問は3度目ですが、いつ来ても心が満たされるお寺です。

北門から入り受付を済ませて本坊に入るとまず待ち受けるのは、俵屋宗達によって描かれた風神雷神図(複製)。

ひと昔前にはテレビCMにもよく登場していたので知名度も高く、多くの人だかりが出来ていました。

本坊を出て次に向かったのが方丈と呼ばれる建物。

海北友松が描いた襖絵が緊張感のある空気をつくり出す部屋の前には枯山水の庭園がひろがり、人々の心を落ち着かせてくれています。

そこから少し離れた法堂には圧巻の世界が…。

ここへ入る前、子供達には合図をするまで下を向いているように念を押し、仏様の正面に立つと同時に合図をして上を見た瞬間、天井の双龍図に圧倒されて後ろ向きに倒れそうになっていました。(笑)

心の揺さぶりが激しい寺院ですが、全体的にはゆったりとした空気が流れており、気が付けばなんとなく涼しい気分に浸っていました。

視界に飛び込む情報がやたらと騒がしい昨今、モノクロの世界がひろがる禅寺の魅力を堪能してみるのはいかがでしょうか?

k.yamatani

古き良き時代?

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久しぶりに同い年の連れと映画館へレイトショーを観に行きました。

コロナもあって映画館へは足が遠のいていましたが、どうしても観たい映画があり、夜な夜な尼崎MOVIXへ!

タイトルは、「トップガン・マーヴェリック」!!

トップガン・マーヴェリック

未だ観ていない方には、一言だけ申し上げたい。

この映画は是非、映画館で観て頂きたい!

では、これ以下はネタバレになるので観てない方はご注意を。。

分かっていましたが、とにかくカッコいい映画です。

始まって早々、懐かしい音楽と空母から爆音でぶっ飛んでいく戦闘機のシーン。

開始5分で持っていかれましたね。

初代トップガンが放映されたのは1986年で約35年前の作品でしたが、(当時の私は小学生でしたが)はっきりと覚えています。

というか、何回再放送された事か…。

もともと、車やバイク、ミリタリーものが割と好きな方でしたので、観ている間は子供心をくすぐられ続けていましたね!

KawasakiのNinja900Rが出てきたときは震えましたね。 (;^ω^)

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ドッグファイトシーンは旧型と新型の争い。

そんな訳ないやろ、と突っ込みたくなる気持ちを抑えてF14を応援するオレ。

もうあかん!と思ってるところに、ほらキター!F18

お約束といえばそれまでですが、それでも十分興奮してドキドキわくわくの連続。

実は結構ストーリーも充実しててあっという間に過ぎた2時間でしたよ。

今年45歳になる小生。

トムクルーズには100回生まれ変わってもなれないですが、少しはカッコイイジジイになれるように努力したいなと、気持ちを若くさせてくれた映画でしたね!

最近は男も女も関係のない服であったり、中性的な男の子が多かったりと昭和生まれのオジサンにはついていけない好みではありますが、この映画を観たオジサンたちにもう一度、古き良き時代のカッコよさを取り戻してほしい!

と願うばかりです。

てことで、明日レイバンのサングラスとMA-1を買いにいこ!

で、10年後はポルシェのコンバチでも乗ろうかな!笑

Ⅿavrik.omuro

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