カテゴリーの壁

先日テレビを見ていると「AKB総選挙」をやっていました。
上位数名しか顔と名前が一致しませんでしたが、なかなか面白かったので最後まで見てしまいました。

 

と言うのも、単純に順位を争う面とは別に今の社会を反映しているなぁ・・・と思ったので。

 

まずは、女子が順位を争い、男子がそれを応援する姿。
「草食系男子」「肉食系女子」と言う言葉が出て久しいですが、まさにその構図です。

 

そして、順位を獲得したメンバーのコメント。
達成感に満ち溢れたコメントや悔しさに浸ったコメントなど、様々なコメントが有りましたが、
逆に言えば、これほど生の言葉で喜怒哀楽に満ちた言葉を聴けることは最近少ないのではないかと思います。

 

ちなみに下記が今回の順位と獲得票数になります。

 

1位:渡辺麻友 159,854票
2位:指原莉乃 141,954票
3位:柏木由紀 104,364票
4位:松井珠理奈 90,910票
5位:松井玲奈 69,790票

 

上位5名までの順位ですが、この5名の得票数だけで50万票以上(CD売上50万枚以上)獲得しています。
ちなみに昨年のオリコン発表のシングルCD推定売上枚数の第10位が557,217枚になるので、メンバーの上位5名のみでその枚数を売り上げるパワーに驚かされました。

 

このAKB48のCDの販売手法には賛否両論ありますが、結果としてそれだけの枚数を売り上げる事に興味を持ちました。
今回の例は、CDに含まれる「投票権」の価値が「音楽」の価値を大きく上回った典型的な例だと思います。

 

今までCDと言えば「音楽を聴くための媒体」として認識されてきましたが、今や「音楽を聴くための媒体」はCDだけではありません。
むしろ「音楽」としての優先順位は低くなる一方です。
たしかに音質を考えれば、他の「媒体」よりも優れている部分があると思います。
ただ、その差を実感できる再生環境を持っている人がどれだけいるでしょうか?
もしかしたら、CDプレイヤーすら持っていない人もいると思います。

 

最近、音楽関係の方々から「CDが売れないから厳しい」という声をしばしば耳にします。
その反面、各ライブや音楽フェスは大盛況だそうです。
この現象は、音楽を聴かなくなったのか?と言われれば決してそうではなく、音楽を聴く側が「普段の音楽」と「特別な音楽」を使い分けている結果だと思います。
もし、音楽業界がCDが売れなければ成り立たないのであれば、業界の構造が時代の変化に全くついていけていないのではないでしょうか?

 

同じ商品でありながら顧客の求める価値観が変化していく時、むしろ、それまで自分達を保護してくれていた業界の存在が足枷になる可能性があります。
業界の枠に限らず、商品カテゴリーや顧客ターゲットにおいても勝手に自分で足枷をはめてしまっている場合もあると思います。
商品開発においてマーケットインの考え方が主流になって久しいですが、その対象を大きく間違う原因になっているのかも知れません。

 

カテゴリーの境界線を真っ直ぐな線で引けない時代に何を提供するのか?

 

CDに「音楽も付いてくる」と言われはじめた時代の真っ只中に僕達は生きています。

 

K.yamatani