無知は力なり?!

情報の圧力が強い世の中なので、どうしても他人の意見や感想に流されやすい。そう思って始めた「親子で同じ本を読んで感想をぶつけ合う」イベントで、ここ最近、読んだ3冊。

華氏451度

1984年

地の糧

本の指定は息子が行っています。

毎回、彼が大ファンでもあるミュージシャンのヨルシカが、過去に曲のテーマに取り上げた本を指定してくるのですが、これがなかなか手強い。

おそらく、この3冊を読んだことがある人にはわかると思います。

そして、今の若い人達に是非一度読んでみてもらいたいと思ったので、ここで紹介させてもらいます。

「華氏451度」と「1984年」は1950年前後に書かれた本であるにも関わらず、現在読んでも全く違和感のないSF小説でした。むしろ、今の時代を過ごす人達が知らないうちに抱えている問題を的確に指摘しているようにも感じます。

「戦争」が肯定される世界とはどんな世界なのか?

「無知」が権力にもたらす影響とは?

「自分」は本当に自分なのか?

それに対して「地の糧」は、それより古い1897年の発行。これはこれで本の本質に触れる内容で「書物に残された聖人の言葉は酒かすのようなものだ」と語った荘子に通じるものを感じましたし、個人的には「地の糧」というよりも「知の糧」のようにも感じました。

3冊共に「知る」とはどういうことなのかを考えさせらる内容でしたので、機会があれば是非ご一読ください。

令和6年能登半島地震

令和6年能登半島地震の復興支援として寄付させていただいた義援金に対して石川県の馳知事からお礼の手紙をいただきました。

NEWSや新聞でしか現地の情報を得ていませんが、未だ復興までは遠い道のりであると感じており、被災された方々は物心両面において大変なご苦労を伴っていると感じます。

弊社のわずかな支援が微力ながら何かのお役に立つことが出来れば幸いです。

便利さの代償

今、グリコで起こっている問題は「2025年の崖」と言われている問題を先取りしたような状況で、今後、鉄鋼流通業界のシステムでも起こる可能性も否定できない問題だと思います。

「グリコ、利益予想を下方修正 前期比2割減 プッチンプリンなど出荷停止響く」(2024.5.8 産経新聞)

鉄鋼流通の世界では各社が独自の管理システムを使っている事が多いと感じます。特に鋼管流通業界では、その傾向が高くなっています。その背景にあるのが「JISの丸め」です。鋼管の重量を計算する際に独特な有効数字の丸めを行うのですが、市販の会計ソフトでは対応していないので、システム販売企業の格好の餌食となっています。

IT知識に疎い人が多い業界の為、この重量計算を切り口にして複雑多様なシステムを構築して数百万円の管理システムを導入させられているケースをよく耳にします。個人的な意見を言わせてもらえれば、そんなシステムは必要なく、数万円の市販の管理ソフトを少し変更するだけで済むのですが、システム販売会社のウンチクに巻き込まれて独自のシステムを導入する優越感にも浸ってしまうのでしょうか。

なんでもそうですが、ワンオーダー品は高くつくものです。だから、システム会社が暴利を貪っているとは思いません。購入サイドが一般的な商品をワンオーダー状態にしてしまう事が問題なんだと思います。

そこで今後間違いなく問題になってくるのが、ワンオーダー故の保守・更新の難しさです。おそらく古いシステムを更新するのが難しくなるので、全く新しいシステムを提案されることになるでしょう。結局、システム更新による効率の向上と新システムに慣れるまでの効率の低下のサイクルが永遠に続きます。

となるとグリコのトラブルは他人事ではなく、いつか自分達にも降りかかってくる可能性がある問題になるのです。

ピンチ or チャンス?

先日、ヤマト運輸が置き配に対応する旨のNEWS RELEASEを行いました。

2024.4.8 ヤマト運輸 NEWS RELEASE

2024年6月10日(月)から個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」の会員を対象に「宅急便」「宅急便コンパクト」の「置き配」での受け取りを可能に

このニュースは世間的には特に驚く事のないNEWSだと思いますが、個人的にはちょっと気になるNEWSでした。

これまでヤマト運輸の同業他社に対してのアドバンテージは「ラストワンマイル」の強さにあると言われてきました。ラストワンマイルの強さとは、簡単に言うと最終的に荷物を受け取る顧客に対する接客力の強さです。ビジネスモデルのケース学習でもよく取り扱われていたので有名な話ではありますが、差別化が難しい配送業界においてヤマト運輸がこの部分を特に大事にしていたことは、よく知られています。

そんなヤマト運輸がラストワンマイルを捨てて置き配を始めます。ただ、置き配に対するジレンマが「クロネコメンバーズの会員を対象に…」の部分によく表れています。ある程度ヒモが付いている顧客ならば大丈夫かも…と思っているのかも知れません。

早くから置き配を取り入れていたアマゾンの商品の配送ですら企業の信念を通したヤマト運輸がジレンマを抱えながら置き配を取り入れざるを得なかった背景に2024年問題があったと思います。この配送業界の環境変化がなければ、今でも置き配をやることはなかったのではないでしょうか?

法改正や人口構造の変化が引き起こす環境変化は、時として自分達が武器としていたものを諸刃の剣へと変えてしまいます。これまでの歴史の中でも自動車の排ガス規制の強化などが典型的な事例としてよく取り上げられてきましたが、それを逆手にとって飛躍する企業が出て来る事も時代が証明しています。

現時点では2024年を境として起こっている環境変化は2024年「問題」と言われていますが、数年後には大きな転換期としてポジティブに捉える企業が出て来るような気がします。

そして、弊社も今の環境変化をポジティブに捉えている企業の一つです。

ただの自己満足ですが…

今更ではありますが、株式会社エーティーケーの当ホームページのGALLERYにて紹介させていただいている内容はInstagramYouTubeに紹介させていただいているものです。

実は、今まで基本的に宣伝していなかったので知る人ぞ知るアカウントとなっています。弊社社員ですらその存在を知らない人が多々いるほどです。

今までは基本的に弊社でやっている加工や製作した製品をメインに紹介してきました。言わば、「あんなことや、こんなことが出来ますよ!」といった内容です。ただ、正直に言うと、弊社の現場で働く人達はそれにあまり興味がないのです。なぜなら、現場の楽しさは製品が出来上がるまでの課程にあるからです。「こんなことできませんか?」の問合せに対して試行錯誤しながら一緒につくり上げる課程が楽しいのであって、出来上がって出荷した後はすぐに忘れてしまいます。

という事で、その過程を伝えるために定期的に撮影を行って発表していく事にしました!

正直伝え方をわかっていないので試行錯誤の動画撮影になると思いますが、撮影の意図はモノづくりの楽しさを伝えたいって事なので、我慢強く継続していきたいと思います。

数か月後に密かに発表していきますので、興味のある方は今のうちにフォローしておいて下さい。おそらく、今まで通り告知も宣伝も致しませんので…(笑)。

主観と客観

今日から新社会人を始める方もいらっしゃると思いますし、本日を機に転職をして新しい職場に立つ方もいらっしゃると思います。まずは、新しい旅立ちおめでとうございます。厳しい時代の中で苦労する事も多いと思いますが、頑張って下さい。

以前、息子が中学生だった頃に「なぜ、使いもしない教科の勉強をする必要があるのか?」と聞いてきたことがあります。それを聞いて私は「別にしたくなけりゃ、しなくてもいいんじゃない?」と答えました。その上で、こんな質問を投げかけました。

私:何人かでチームを作って敵と戦うゲームする時あるじゃん?その時、チームに加えたいと思うのは、強い人と弱い人どっち?

息子:当然、強い人。

私:じゃあ、もし選べるメンバーが残念ながら弱い人ばっかりだったとして、その中でも成長するために努力している人と何もしない人だったら、どっちを選ぶ?

息子:もちろん、努力している人。

私:じゃあ、もし選べるメンバーが弱いくせに全く努力しない人ばっかりだったとして、その中でも自分と似たようなスキルや知識を持っている人と全く違うスキルや知識を持っている人のどっちを選ぶ?

息子:全く違うスキルや知識の人かなぁ…。

私:その上で、将来働き始めた時に自分は選ばれる人間だと思う?

息子:どうやろ…ヤバいかも。

私:やらない選択って、余程なにかに自信がある人か全く周りが見えていない人にしかできない選択だから、自分がどっちの立場に立ってそれを判断しようとしているのかは、よく考えた方がいいよ。その上で自分に必要が無いと思って「やらない」のであれば、それでいいんじゃない?

社会に出た時に自分が「選ぶ立場」で物事を考えがちなのですが、実際には誰かから「選ばれれる立場」である事を自覚しておくことは大事なことだと思います。それに対して卑屈になる必要はなくて、「選ばれる理由」もしくは「選ばれない理由」を自分が知っておけばいいだけの話です。

頑張っても報われない時があるかも知れませんが、そんな時は頑張る目的を見直すと道が開けるかも知れませんよ。

新しい旅立ちを楽しんでください!

無知は罪なり 知は空虚なり

先日、日銀の金融政策決定会合において「マイナス金利の解除」「YCCの終了」「EFTの買い入れ終了」が発表されました。発表後、連日のようにニュースで伝えられていたので耳にした人は多いと思います。

ただ、当社の社員でこの発表の意味を理解している人は、ほとんどいませんでした。一言で言うと「関係ない話」と捉えたようです。そこで、このように言いかえてみました。

「今まで銀行は余ったお金を残しておくと日銀から手数料を取られていたので、とにかく余分なお金が残らないように人や企業に貸し出す事に必死でした。だから住宅ローンの金利競争が発生したり、誰でも簡単に借金ができたんです。でも、それが終わりました。これからの銀行は手のひらを返しますよ。住宅ローンの審査も厳しくなるでしょうし、金利も上がるでしょう。企業も返す当てがなければ簡単にお金を貸してくれなくなります。でも、それが本来の銀行の姿です。」

本来の銀行の姿を知らない世代が多い中で、この転換は非常にインパクトが大きい話です。(だから連日ニュースで伝えられているのですが…)

知識は身を助けると言いますが、知っている事で先手を打てることはたくさんあります。特にトップニュースで伝えられている事は、言葉の意味がわからなければ調べて理解しておいても損はないと思います。意味をわかっても何もしなければ意味はないですけどね。

結局、「無知は罪なり 知は空虚なり 英知持つもの英雄なり」って事なのでしょう。

タイパ

タイパ」と聞くと大阪のおっちゃん達は「タコパ」の親戚かと思ってしまうのですが、全く似て非なる言葉のようです。正式名称(?)「タイムパフォーマンス」。いかに時間を有効に使うか?もしくは、やりたい事をいかに短時間で終わらせるか?これだけを聞くと素晴らしい事だと思うのですが…。

世間的にタイムパフォーマンスを意識する流れは、「時短」と言う言葉から始まった気がします。「世間的に」と言う理由は、製造業の世界では100年以上前にテイラーと言う人が時間研究をした事から始まりトヨタ生産方式などへと繋がってきているので、意外にも製造業を得意とする日本はタイムパフォーマンスの向上が得意な国でもありました。これが若者世代の生活習慣として始まったことは、非常に驚く事です。製造業的に考えると生活において生産性の向上を意識して生きているとも言えます。(向上しているかどうかは別にして…)

ここ最近、仕事においても生産現場以外のシーンでタイパを意識した行動を感じる事が多くあります。基本的にこれまでホワイトカラーの世界で意識する事は「タイパ」よりも「コスパ」でした。ですが、最近は仕事上でも何となくその立場が逆転しているような気がします。

労働時間の制約や人材不足など様々な環境変化の中で現場労働者に影響が出ていると注目される事が多いですが、実はその背景で間接部門への負担がかなり多くなっているようです。例えば、設計現場においては製作時間確保のために発生する工程の歪みが設計時間を圧縮しています。品質管理部門や積算部門も同様の状況だと思います。ここ最近の自動車メーカーの不正にもこれが背景にあったようですが、この問題は自動車に限らず全ての業界に言えることです。その結果、間接部門においては「コスパ」よりも「タイパ」を重視せざるを得ない状況に陥っているようです。

あなたは「安さ」よりも「速さ」、「情報量」よりも「効率」が重視されつつある時代の変化について行けているでしょうか?

ゲームチェンジ

先日、OpenAIが発表したsoraには大きな衝撃を受けました。

一見、製造業には全く関係ない事なのですが、これが一般的に使われるようになると対岸の火事では済まされなくなると思いした。なぜなら、これが世の中の価値観や行動様式を大きく変える可能性が高いと感じたからです。

まず、これが最初に普及する業界はCM業界だと思います。長くても15秒程度の映像のため、現在の仕様でもすぐに対応できる上に製作費の大幅なコストダウンだけでなく、出演者の様々なゴシップネタや人気の変動のリスクヘッジも可能になるので、それだけでも使用するのに十分な理由です。更に視聴者の嗜好に応じて瞬時に映像内容を改変できるようになれば費用対効果も大きくなりますし、それによるCMの費用対効果を測定出来るようになればネット広告に奪われていた市場を取り戻すきっかけになるかも知れません。

また、これまでの映像には制作時間が必要なため予め制作された映像を見るという意味で受動的にならざるを得ず、視聴と嗜好のズレを生んでいましたが、これが極力小さくなった時にどうなるのか?これまでの映像に対して受け身な状態が能動的に映像を見る(見させられる)状態へと大きく変わる可能性が高くなると思います。そして、人間の行動は視覚情報に大きく影響を受ける為、見たい情報しか見ない世界が現実とのギャップを生み出して、現実では生きづらい人を多く創り出していくかも知れません。

あまりピンと来ない人は、「マトリックス」という映画の中で人間がやっていた事が参考になるかも知れません。あくまで映画なので一つの極論だとは思いますが、スマホの登場以降大きく変わった余暇時間の使い方を考えるとあながち大きくズレているとは感じません。

そして、人々の行動パターンが大きく変わっていくと思います。(すでに変わり続けていますが…)

行動パターンが変われば、住環境や娯楽、そして使用する道具やシチュエーションも大きく変わります。

結果、製造業界も対岸の火事では済まされなくなるという事です。

2024

今年に入ってからというもの「2024年問題」というワードを耳にしない日が、ほとんどありません。ただ、個人的にはこの言葉が都合よく使われて独り歩きしているような気がしています。

一般的に2024年問題と聞くと物流や建築の問題だと感じると思います。しかしながら、実際には2024年限定で起こる問題は通信(ISDNの廃止)の問題だけです。物流や建築の問題としてあげられているのは残業規制の問題ですが、これは2019年4月(中小企業は2020年4月)に始まったもので、物流と建築が特例で猶予されている期間が終わるのが2024年だと言うだけの話です。

要は、猶予期間に解決していない業者がたくさんいるのが問題であって、夏休みの宿題をやらずに2学期の始業式を迎える人がたくさんいる事と同じです。その上でこの言葉が都合よく使われていると感じる理由は、それを正当化しようとしているように感じるからです。

その最たるものが、これを口実とした値上げです。これは単なる開き直りに近くて、小学生が「夏休みの宿題が出来ていないから授業時間を減らせ!」とか「夏休みを延期しろ!」と言っているようなものです。正直言って、この猶予期間の間に真面目に改善に取り組んでいた業者をバカにしていると思います。

もちろん適正な価格で仕事を請け負う事は重要です。これを話し合いで解決するのではなく、半ば脅迫のように「2024年問題」というキーワードを使って押し付けるのが問題だと感じています。

おそらく、この流れでは市場が委縮します。

企業同士が互いを尊重して、共に発展できる方法で解決していく事を望みます。