Digital Native Generation

新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るっている中、人々の環境が大きく変わろうとしています。

様々な移動制限が出る中、在宅勤務や在宅学習が一気に浸透しているのが、そのキッカケの一つです。産業革命以降、人間は移動する速さを短縮する事ばかりを考えてきましたが、移動そのものをやめることに真剣に向き合うのは初めてではないでしょうか?

そして、いつのまにか当たり前になったネット空間を利用して、身体の移動なしで時間と空間を複数の人と共有しています。今まで長時間の通勤時間を要していた人達にとって、今回の在宅勤務環境の整備は、今後の働き方を考え直すキッカケになるかも知れません。

また、在宅学習の環境の整備も子供達の思考に変化を及ぼすかも知れません。通常、教室の中で授業を受ける際、生徒達は周りの人達と自由に会話していると「静かにしろ!!」と怒られます。ところが在宅学習では違います。今の子供達は何の苦も無く複数のネット環境を使いこなします。子供がテレビゲームをする際に複数の人達とスマートフォンで同時通話をしながら遊んでいる姿を見たことはないでしょうか?それと同じように在宅学習では先生が映っている画面の横で友人達とSNSで会話をしたり、ネットから情報を得ている姿を容易に創造できます。

これは悪い事ばかりではなくて、無意識の内にマルチタスクのトレーニングをしているようなものだと思います。なぜなら、状況に応じて必要な情報を複数のネットワークから収集する能力を自然に身に付けていく可能性が高いからです。残念ながら、学生時代にスマートフォンが普及していなかった現在の30代以上の人達は、このようなトレーニングを受けていません。そのため、そのようなトレーニング受けた世代と受けていない世代とでは情報処理能力に圧倒的な差が生まれて、時間の使い方に大きな差が発生してくるのではないでしょうか?

という事で、現在、主に情報を扱う仕事をしているホワイトカラーの人達が行き場を見失う時代が来るのは時間の問題でしょう。昨今は、「いずれAIに職を奪われる」と言われることが多かったのですが、今回の件をキッカケにAIよりも先にAIを使いこなすデジタルネイティブ世代に職を奪われる方が早くなったと思います。

その上で昔からのやり方を崇拝して新世代に押し付けるのか?それとも彼らのやり方を尊重して会社の仕組みを創り変えていくのか?によって、企業の成長が大きく分かれるのではないでしょうか?

その答えが出るまで、あと数年。

新しい世代が今の社会にどんな変革をもたらすのか楽しみです。

k.yamatani