TOP » 技術屋ブログ » 見た目はそっくり。でも中身は全く違う。

見た目はそっくり。でも中身は全く違う。

SGPとSTKの違いを徹底比較|用途・規格・選び方をわかりやすく解説 | 株式会社エーティーケー

SGPとSTKの違いを徹底比較|用途・規格・選び方をわかりやすく解説

パイプ鋼管を選ぶとき、「SGPとSTKはどう違うのか」「自分の用途にはどちらが適しているのか」と迷った経験はありませんか? どちらも炭素鋼のパイプですが、JIS規格上の分類が異なり、用途・機械的性質・寸法体系に明確な違いがあります。本記事では、SGPとSTKの違いを7つの観点で徹底比較し、正しい選び方を解説します。

SGPとは?(配管用炭素鋼鋼管)

SGPは「Steel Gas Pipe」の略で、JIS G 3452に規定される配管用炭素鋼鋼管です。元々はガス配管用として開発されましたが、現在では水道、蒸気、油、空気などの配管にも広く使用されています。使用圧力が比較的低い(約1MPa以下)の配管に適しており、日本の建築設備・工場プラントで最も一般的に使用されるパイプの一つです。

SGPには表面処理の違いによって「黒管」と「白管(亜鉛メッキ管)」の2種類があります。黒管はメッキなしの素地のままで主に蒸気・油配管に使用され、白管は亜鉛メッキを施すことで耐食性を高めており、水道配管やスプリンクラー配管に使われます。

STKとは?(一般構造用炭素鋼鋼管)

STKは「Steel Tube for General Structure(構造用鋼管の意)」で、JIS G 3444に規定される一般構造用炭素鋼鋼管です。建築・土木・機械などの構造部材として使用することを目的としたパイプであり、引張強度や降伏点が規格で保証されている点がSGPとの大きな違いです。

STKにはSTK400、STK490、STK500、STK540の4種があり、数字は最小引張強度(N/mm²)を表します。最も一般的なSTK400は最小引張強度400N/mm²以上が保証されており、建築の柱・梁・足場(単管パイプ)、仮設構造物などに幅広く使われています。

SGPとSTKの7つの違い

SGP vs STK 特性比較 SGP 配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452) ● 主な用途 水道・ガス・蒸気・油の配管 ● 強度保証 なし(化学成分のみ規定) ● 呼び方 呼び径 A・B(例: 25A, 1B) ● 加工性 ◎ 優 ● コスト ○ 手頃 STK 一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G 3444) ● 主な用途 建築・土木の構造部材・足場 ● 強度保証 あり(引張強度・降伏点を規定) ● 呼び方 外径×肉厚(例: 48.6×2.4) ● 加工性 ○ 良 ● コスト △ やや高い VS
図1:SGPとSTKの主な特性比較

1. JIS規格と目的の違い

SGPはJIS G 3452で規定されており、その主な目的は「流体の輸送」です。一方、STKはJIS G 3444で規定され、「構造部材として荷重を支える」ことを目的としています。この目的の違いが、両者のあらゆる仕様の根本的な差異を生んでいます。

2. 機械的性質の保証

最も重要な違いは機械的性質の保証です。SGPでは引張強度や降伏点の保証がなく、化学成分(C、Si、Mn、P、Sの上限値)のみが規定されています。一方STKでは、種類ごとに引張強度・降伏点・伸びの最低値が保証されています。構造計算で使用する場合は、強度が保証されたSTKを選ぶ必要があります。

3. 寸法体系の違い

SGPは「呼び径(A呼称・B呼称)」で寸法を表します(例:25A、1B)。これは配管接続の規格に由来する呼び方です。一方、STKは「外径×肉厚」で表します(例:48.6×2.4mm)。同じ外径のパイプでも呼び方が異なるため、発注時の指定方法に注意が必要です。

4. 肉厚のバリエーション

SGPの肉厚はスケジュール番号(Sch)で分類され、呼び径ごとに標準的な肉厚が決まっています。一方STKは、同じ外径でも複数の肉厚バリエーション(例:1.6mm、2.0mm、2.3mm、2.4mm、3.2mmなど)が規格に存在し、荷重条件に応じた選択が可能です。

5. 使用温度と圧力

SGPは350℃以下の比較的低温・低圧(約1MPa以下)の条件で使用されます。高温・高圧が求められる場合はSTPG(圧力配管用炭素鋼鋼管)やSTPA(配管用合金鋼鋼管)を選択します。STKは温度・圧力の使用条件ではなく、構造荷重に対する強度で評価されます。

6. 加工性の違い

SGPは炭素含有量が比較的低く軟らかいため、切断・ねじ切り・曲げ加工がしやすい鋼管です。STKは強度が高い分、加工にはやや大きな力が必要になりますが、一般的な金属加工設備で十分に対応可能です。当社でもSGP・STK双方の加工を日常的に行っています。

7. 価格帯の違い

一般的に、SGPはSTKよりも安価です。SGPは大量に流通しており、市場在庫が豊富なため入手性も良好です。STKは機械的性質の保証や試験が必要な分、SGPよりもやや価格が高くなる傾向がありますが、構造用途では強度保証のあるSTKを使うべきです。コスト削減のために安易にSGPで代替することは安全上の問題につながる可能性があるため注意が必要です。

比較早見表

比較項目 SGP(配管用) STK(構造用)
JIS規格 JIS G 3452 JIS G 3444
主な目的 流体の輸送 構造荷重の支持
引張強度保証 なし あり(400〜540 N/mm²)
降伏点保証 なし あり(235〜390 N/mm²)
寸法表記 呼び径 A・B 外径×肉厚(mm)
代表的な外径 21.7〜508.0 mm 21.7〜508.0 mm
表面処理 黒管・白管(メッキ) 黒管が中心
価格目安 比較的安価 SGPよりやや高い
加工性 ◎ 良好 ○ 良好
主な用途例 水道・ガス・蒸気・空調配管 柱・梁・足場・フェンス・手すり

用途別の選び方ガイド

パイプの用途は? 流体を通す(配管) 荷重を支える(構造) 使用圧力は1MPa以下? Yes No SGP推奨 JIS G 3452 STPG推奨 JIS G 3454 構造計算が必要? Yes No STK推奨 JIS G 3444 用途により SGPまたはSTK 選定の原則 配管(流体の輸送)→ SGP を基本に検討 構造(荷重を支える)→ STK を基本に検討
図2:用途別の鋼管選び方フローチャート

配管用途の場合

水道、ガス、蒸気、油、エアーなどの流体を通す配管には、基本的にSGPを選択します。使用圧力が1MPa以下であればSGPで十分対応でき、コスト面でも有利です。ただし、水道用途で白管(亜鉛メッキ管)を使用する場合、近年はSGP-PDやライニング鋼管に置き換わっている分野もあるため、最新の水道施設基準を確認しましょう。

構造用途の場合

柱、梁、フレーム、手すり、フェンスなど、荷重がかかる構造部材にはSTKを選択します。構造計算が必要な場合は、引張強度と降伏点が保証されたSTKでなければ設計上の根拠が成り立ちません。STK400が最も一般的ですが、より高い強度が必要な場合はSTK490やSTK500も検討します。

兼用・迷う場合

「配管を構造体としても利用したい」というケースでは、STKを選んでおけば間違いありません。STKは機械的性質が保証されているうえ、配管としての使用も可能です。ただし、ねじ切り加工が必要な場合はSGPの方が対応しやすいことがあります。判断に迷う場合は、専門家に相談することをお勧めします。

よくある間違い:SGPの構造転用

コスト削減を理由にSTKの代わりにSGPを構造部材に使用するケースが見受けられます。SGPは機械的性質が保証されていないため、構造計算の根拠となる数値が得られません。万が一の事故時に責任問題に発展する可能性もあるため、構造用途には必ずSTKを使用してください。

関連規格:STKMとSTKRについて

パイプ鋼管にはSGP・STK以外にも多くのJIS規格が存在します。STKM(JIS G 3445:機械構造用炭素鋼鋼管)は自動車や機械部品の精密な構造部材に、STKR(JIS G 3466:一般構造用角形鋼管)は角パイプの構造用途に使用されます。用途に合わせた規格選定が重要です。

まとめ

SGPとSTKの違いは「配管用か構造用か」という目的の違いに集約されます。SGPは流体輸送が目的で、加工性が良くコストも抑えられる一方、機械的性質の保証がありません。STKは構造荷重を支えるのが目的で、引張強度と降伏点が規格で保証されています。

正しい鋼管を選ぶことは、製品の安全性と品質を確保するための第一歩です。「この用途にはどの鋼管が適しているのか」と判断に迷われたら、パイプ加工のプロである当社にお気軽にご相談ください。

鋼管の選定・加工はエーティーケーにお任せください

SGP・STK・STKM・SUS304など各種鋼管の在庫と加工に対応。最適な鋼種のご提案から加工まで一貫してサポートします。