便利さの代償

今、グリコで起こっている問題は「2025年の崖」と言われている問題を先取りしたような状況で、今後、鉄鋼流通業界のシステムでも起こる可能性も否定できない問題だと思います。

「グリコ、利益予想を下方修正 前期比2割減 プッチンプリンなど出荷停止響く」(2024.5.8 産経新聞)

鉄鋼流通の世界では各社が独自の管理システムを使っている事が多いと感じます。特に鋼管流通業界では、その傾向が高くなっています。その背景にあるのが「JISの丸め」です。鋼管の重量を計算する際に独特な有効数字の丸めを行うのですが、市販の会計ソフトでは対応していないので、システム販売企業の格好の餌食となっています。

IT知識に疎い人が多い業界の為、この重量計算を切り口にして複雑多様なシステムを構築して数百万円の管理システムを導入させられているケースをよく耳にします。個人的な意見を言わせてもらえれば、そんなシステムは必要なく、数万円の市販の管理ソフトを少し変更するだけで済むのですが、システム販売会社のウンチクに巻き込まれて独自のシステムを導入する優越感にも浸ってしまうのでしょうか。

なんでもそうですが、ワンオーダー品は高くつくものです。だから、システム会社が暴利を貪っているとは思いません。購入サイドが一般的な商品をワンオーダー状態にしてしまう事が問題なんだと思います。

そこで今後間違いなく問題になってくるのが、ワンオーダー故の保守・更新の難しさです。おそらく古いシステムを更新するのが難しくなるので、全く新しいシステムを提案されることになるでしょう。結局、システム更新による効率の向上と新システムに慣れるまでの効率の低下のサイクルが永遠に続きます。

となるとグリコのトラブルは他人事ではなく、いつか自分達にも降りかかってくる可能性がある問題になるのです。