頭の中のモノサシ

数カ月前、世の中が地デジに移行する流れに沿って、我が家のテレビも買い換えました。

 

そして、いつの間にかテレビを観る時間が増えました。

 

と言っても「画像が美しくなったから」とか「番組表で簡単に番組が選べるから」と言った理由ではなく、「録画が簡単にできるから」と言うのが一番の理由です。

 

実は、「テレビを観る時間が増えた」と言っても、ほとんどが録画した映像です。

気に入った番組は自動録画に設定しておいて、時間がある時にゆっくり観るのが習慣になってしまいました。(もしかしたらリアルタイムで見る映像は、ニュースとスポーツ番組ぐらいかも・・・。)

 

気に入った番組ほどゆっくり観れるので、同じようなタイプの人は結構いるのかも知れません。

 

 

先日、NHKのスーパープレゼンテーションという番組で紹介されたプレゼンの中に興味深いプレゼンがありました。

それは、「特定のテレビ番組に関連するキーワード」をソーシャルネットワーク上でリアルタイムに収集して、番組の反響を地域毎に地図上に表現するものでした。

 

現在のソーシャルネットワーク環境であれば、リアルタイムに番組の反応が現れます。

そして不思議な事に、その反応は視聴率とは全く別の視点の反応を示しました。

地域によって反応が違う場合もあれば、ある一定のタイムラグの後に大きな反応を示す場合など、単に一つの番組と言っても様々な反応があることがリアルにわかるようになりました。

 

これは、番組の価値を「視聴率」という平面的な数字でしか測れていない現状においては、大きな意味を持つ試みだと思います。

今回の試みにより「視聴率の良い番組」が必ずしも「面白い番組」というわけではなく、様々な反応を呼び起こす「奥行きのある番組」こそが「面白い番組」なのかも知れないという新しい視点がもたらされました。

もちろんソーシャルネット環境という一面だけからのデータなので、それが全てに当てはまるとは思いませんが、新たな視点という意味では、たいへん意味のある結果だと思います。

 

そして、今回の試みは番組の価値を測る際の「新しいモノサシ」をもたらしました。

 

 

このような「モノサシ」の変化は、テレビ番組に限らず様々な業種や環境に起こりうることだと思います。

 

例えば、長らく規模の経済が支配していた鉄鋼業界では、扱い量の多さが会社の規模や内容を想定させていました。

「◯◯トンの常時在庫!!」や「◯◯トンの加工能力完備!!」と言う謳い文句が多いのは、そのためです。

 

ところが昨今の市場の冷え込みにより、それが必ずしも会社の内容を反映しなくなってしまいました。

むしろ「余剰在庫」や「余剰設備」を想定させるため、マイナスのイメージもある程です。

 

 

時代の変化により、モノサシの種類も変わっていきます。

モノサシが違えば正しい内容を測れないので、いくら戦略を練ったところで通用しません。

 

 

「自分達は、その時代に適したモノサシで測れているのか?」

 

 

たまには、頭の中の道具の入れ替えも必要ですね。

 

k.yamatani