先人の言葉の重み

「憤せずんば啓せず 悱せずんば発せず」

(自分で(考えて問題を解決しようとする)意欲がわかなければ(その者を)教え導くことはしない。(自分の考えを)言い悩んで(どう表現してよいか)悶々 としていなければ(その者を)教え導くことはしない。「論語 述而第七 八」より)

先日、ビジネススクールで大学院理工学部の方々が持ち寄った研究シーズを元にビジネスモデルを考える授業がありました。

この授業を受講する上で自分の中に3つの心配がありました。

一つは、どのような人達とコラボするのかがわからない。
もう一つは、公開されるまで研究シーズが何かわからない。
最後の一つは、学部生達と共同で進めていく上で、自分の立ち位置がわからない。

この心配の裏を返せば、学部生達も同じ心境であったと思います。

正直、学生の方達と出会うまでは「大学院理工学部生=堅物かも…」のイメージでしたが、そんな心配は杞憂で、とても気さくなメンバー構成でした。
全体を通しても皆さん明るく気さくな方が多く、特に理工学部に女性が多かった事に驚きました。

そして、研究シーズを教えていただいたのですが、こっちの方は専門的過ぎてサッパリわかりません。結局、学生の方々から教えを請いてそれなりに理解したつもりになり、その後、なんとか研究シーズをデフォルメして、ビジネスモデルに落とし込む事ができました。

そして、ここからの共同作業での立ち位置。
BS生としてはビジネスモデルに落とし込んで形にしていく作業を日々行っているので、それほど難しい事ではないのですが、そうなると学生達が置いてけぼりになってしまいます。
そこで、敢えて自分からは主導せず、一歩下がった位置から方向付けだけを行うように努めました。
当然、専門的なところは自分達が主導しなければ形にならなかったので率先して行いましたが、ビジネスモデルのベース部分、研究分野の深堀や展開、発表の構成、発表を学生達が主導してやってくれました。
もともと優秀な方達の集まりだったこともありますが、議論や展開が停滞したところでヒントを与えると一気に動き出す様子は、見ていて本当に気持ちが良かったです。
最後の方になると、自分達が何も言わなくても学生同士で話し合って決めるようになり、本当に頼もしい存在になりました。

そこで思い出したのが、冒頭の言葉です。
いわゆる「啓発」と言う言葉の語源ですが、今回あらためて的を得ていると感じました。

今回、困難な課題にチャレンジした学生の皆さんの今後のご活躍を楽しみにしています。

k.yamatani

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